きょうは
取材カメラの仕事だった。
イノシシ被害ネタで
電柵対策をとっている
最先端の農地を撮影するという。
僕は
自分のドローンを持っていくことにした。
農地は広いけど
ドローンでなら
空から俯瞰が撮れる。
一通り
ENGカメラ(デカイやつ)で
インタビューが終わった。
僕は取材車からドローンを出した。
ドローンが浮かぶ。
おお!!
自分のカメラながらいい感じだ。
広大な土地だ。
ドローンを農地の端まで移動させる。
両側が山に囲まれている田んぼ。
イノシシが住む山と
その隣に広がる農地を撮影する。
ドローンの背後も山だ。
僕はスマホに映し出された映像を見ながら
ときおり
ドローンの位置を確認する。
電柱がなければ電線もなく
車も通らない。
それほどドローンの位置を
意識する必要もなさそうだ。
制作会社の先輩に
ドローンの使い方のコツを教えてもらっていた。
「ENGカメラと一緒」
そうか。
ビデオカメラは全部一緒。
指の微妙な感覚。
撮りたい映像への熱意、愛情。
僕は
指の微妙な感覚を大切にしながら
ゆっくりと撮影角度を変えていった。
いいぞ、いい感じだ。
このまま、もうちょっとだけ横にずれよう。
僕はドローンを目視しようと
頭を上げた。
僕は視力はいい。
レーシック手術をして
0.3が1.5に戻った。
200mぐらい離れたけど
大丈夫。
探す。
あれ??
僕は画面でその位置を確認しようとした。
…
…
映像が止まっていた。
ピーピーという音だけが鳴っている。
どういうことだ?
止まった映像は
まぎれもなく
木の枝に絡まっている映像だった。
しまった…
続く