4月25日(木)
11月1日に始まった職業訓練。
きょうが実質最終日となった。
指導員と呼ばれる教官は、朝から
「ロッカーの鍵を必ず返すようにして下さい」と何度も呼びかけていた。
この教官は、2週間前から「ロッカーに荷物を残さないよう、計画的に整理してください」を繰り返した。
彼の発言は「自分に責任が及ばないように」という点で、徹底していた。
無用なアンケートも何枚も渡された(「ヒヤリ・ハット報告書」「受講内容改善提案書」)。
組織のお偉いさんが決めたアンケートは、恐らく、現場の職員はほとんど読みもしていないのではないかと思われた。
「アンケートをとった=改善しようと行動した」という実績作りが必要なのだろう。
僕は全て白紙のまま教官に渡した。
彼らにとっても、白紙の方がありがたいはずだった。
修了式当日も、平屋の建て方訓練は続いた。
1ヶ月前、教官は「実習は進みすぎている」と言った。
我々11月入所組は、人数がマックスだった。
人が多い分、分業ができ、作業は早く進んだ。
しかし、気がつけば「もう完成が間に合わない」状態になっていた。
時間を調整しようと、「責任逃れの教官」が座学の時間を多くとったことが原因であることは明らかだった。
3月と4月に担当となった「責任逃れの教官」は、座学で理屈を述べるときはいきいきと元気よく喋るのだが、実習となると、元気がなくなるのがわかった。
彼は、座学を優先させた。
その結果、「完成が間に合わない」状態となった。
教官のレベルが知れる、象徴的な出来事だった。
結局僕らは
「優秀な学生なら、職業訓練校になんか就職しないよな」とささやき合った。
一番親しくなったH君は
「どうせなら最後まで完成させたかったすよね!!」と言った。
大きな声だった。
目の前には「責任逃れの教官」がいたが、彼は、全く反応しなかった。
きのうは、ひたすら壁紙を貼っていった。
女性陣が糊を塗り、男性陣が壁に貼り付けていった。
墨線に合わせ貼り「撫でバケ」で広げていった。
シワができれば、右手で剥がして伸ばしながら、左手で「撫でパケ」で貼り付けていった。
何をやらせても、他の人より早くきれいにできた僕だったが、これだけは他の人より下手だった。
ひとつひとつ時間をかけて丁寧にやる必要があるのだが、それができなかった。
もうみんな疲れてあまりやりたがらなかったので、僕は
「ぜひやらせてください」としゃしゃり出て、ガンガン貼っていった。
自分に「丁寧にゆっくり」と言い聞かせてやっているうちに、他の人より上手に貼れるようになった。
周りの人も
「回数こなせば上手になるもんだね」と感心していた。
天井も同じだった。
ただ、体勢がアクロバットになるだけだった。
初めはびっくりするくらい下手だった壁紙張りも、4枚目くらいからなんとかなるようになっていった。
壁紙を貼り終えると、いっぱしの部屋になった。
これで自分でリノベーションするとしても「なんとかなるな」と安堵した。