4月24日(水)
きょうは寒河江の物件の内覧だ。
少なくとも、半年ほど前からずっと掲載されている物件だ。
月6万5000円で賃貸中の、オーナーチェンジ物件だ。
家の他に、作業場向きの、2階建ての小屋が2つある。
おいしい物件だ。
なのに、なぜこんなに長い間売れずにいるのか?
借り主が宗教団体で、集会に使っているということだが、それだけではないだろう。
その疑問を解決するためにも、一度見ておきたい物件だった。
山形市北部の物件の購入を決める前だった。
僕は、スーモに掲載されている取り扱い不動産屋に、内覧を申し込んだ。
翌日電話がきたが「大家さんが尾花沢。鍵を持ってくるのに時間がかかるので来週になる」と告げた。
こうして待っている間に、僕は山形市北部の物件購入を決めたが、一応、内覧には行くことにした。
投資物件は増やしていく必要がある。
僕は、学校の友人を誘って、訓練終了後、2人で寒河江に向かった。
現場に着くと、不動産屋、大家さん、借り主がいた。
全員が初対面だ。
こういうときは、とにかく明るく元気にあいさつする。
礼儀正しくふるまう。
微笑みを忘れない。
一方で、聞きにくいこともきちんと聞く。
「仕事はできるけどしゃべりやすい人」。
5棟内覧しながらできつつある、僕のスタイルだ。
そして僕は、内覧を始めてすぐに不動産屋に告げた。
「投資物件を探しています」
彼の目はギラリと光った。
僕は彼にとって、客になる可能性の高い人物だった。
「それならここはぴったりじゃないですか!!」
僕は、床の柔らかさや壁のヒビなどに目を光らせながら、間取りをチェッックしていった。
風呂場やトイレの交換時期、水漏れはなさそうか?
全体的に、丁寧に使われていることがわかる物件だった。
ところどころに宗教団体に関する張り紙などがあり、気味悪さはあったが、許容範囲ではあった。
雨樋は壊れ、外観はボロボロだった。
ただそれも、集会所として使われない日に合わせ
「DIYイベンド」を企画し、みんなでワイワイ修復するというのも面白そうだった。
寒河江なら、来てくれる友人に心当たりがある。
いいかも知れない。
内覧が終わると、大家さんからいろいろ情報を収集する。
「昭和一桁生まれ」というが、しっかりと的確に説明してくれるおじいちゃんだった。
「息子のために買ったが、転勤続きで住めなかった。空き家にしておくのももったいないと賃貸をすすめられ、賃貸に出したら、今の宗教団体が借りてくれた」という。
僕は維持費について聞いた。
固定資産税と下水処理を合わせても、年に5万もかからないことがわかった。
65,000円の家賃だと年間で
65,000*12=78万円
年間70万円の収入が保障されている。
もう20年近くこの団体に貸しているが、入金の遅れも含め、ネガティブなことは一切発生したことがないという。
価格は350万円。諸経費込みで400万円みたとして
400万÷70=5.1
5年でペイできる計算だ。
しかも、オーナーチェンジだから、補修に手を加える必要がない。
リノベーション費用はいらない。
2つの小屋もきれいな土間だった。
鍵がかかっていて入れなかったが、作業場や資材置き場として使うには最高だった。
この小屋は誰も使っていない。
僕の城になる。
DIY仲間の溜まり場にできる。
夏はみんなで作業して、そのまま三吉屋から持ってきた生ビール。
そして、そのままキャンプするのだ。
僕の気持ちは、買う方向に傾いてきた。
だからこそ、ネガティブな情報をはっきりさせておく必要があった。
「この小屋は未登記の違法物件ですよね?」
「そうですね」
そして彼は、なんでもないという風にさらりと続けた。
「この家自体も未登記です」
そして彼はすぐに違う話題にうつったのだった。
??
えっ??
家が未登記??
どういうこと??
僕は敢えてそこからつっこんで聞くのをやめた。
この60がらみの不動産屋は、一筋縄でいかない人物であることは明白だった。
そんな彼に、僕の無知を晒すのは、決して得策ではなかった。
その後僕らは、彼の名字から出身がわかり、その話題でひとしきり盛り上がった。
話が一段落すると、礼を言って去った。
不動産屋は「500万から売り出しを始めて、350万まで落とした。もう価格交渉はできない」と断固として告げてきた。
建物自体なら300万円だった。
250万円でもいいくらいだ。
しかし、月6万5000の賃貸契約があるから、この強気の価格なのだろう。
問題は「未登記物件」によってかかる新たな費用だった。
翌日、僕は学校の休み時間、ネットでいろいろと検索してみた。
すると「未登記物件」は、たくさんあることがわかった。
ローンを引くときに「登記」が必要になるらしく、現金即買いなら、「登記」は不必要。
むしろ、「登記費用」がかかるので、不要と考えることもできるようだ。
違法だけど、事実上、罰則はない。ということか。
ただ役所が目を光らせているので「固定資産税」はきちんととられるらしい。
昔の物件は、「未登記物件」少なくないらしい。
問題は、購入する場合。
未登記建物を登記する場合
- 建物表題登記
- 所有権保存登記
が必要
とのこと。
これらの登記は、直接買主名義で行うことも可能です。
ただし、取引の安全を第一に考えるなら、費用や手間、時間はかかりますが、売主名義で所有権保存登記まで行い、売主から「所有権を移転」という形式で買主名義に登記する方法が、実情にも合っているのでおすすめです。
購入にはデメリットがあるという。
未登記の建物を購入する際には、下記の点に注意が必要です。
「未登記物件購入のデメリット」
・融資が受けられない
・土地家屋調査士や司法書士への依頼が必要(これだけで30万は飛びそうだな)
交渉の方向
①350万円でのむから、登記だけしてくれ
②登記をこっちでやるから、300万円にしてくれ
その前に、以前お世話になった、土地家屋調査士に電話してみよう。
後日談
結局登記されている物件でした。つーか、普通に「アットホーム」にも「登記」で登録されていました。恐ろしい不動産屋さんです。
ただ滅失処理をしていない小屋が1棟ありました。契約前に滅失処理は売主さん負担でやってもらいました。