気がつけば1月も中旬を過ぎている。
「職業訓練校」に入ったのが、去年11月。
もうすぐ丸3ヶ月。折り返し地点が見えてきた。
早い。早過ぎる。
学校では、「Photoshop」の授業が進んでいる。
写真の加工の仕方。
やってみたいと思っていたこと。
面白い。
でも、進むのが遅すぎる。
隣の席のおばちゃんは、保存の仕方がわからず困っている。
「何度同じ説明をされても覚えられない」とこぼしている。
先生は、辛抱強く同じ説明を繰り返す。
そんな初歩でつまずく人が、2人や3人ではない。
先生はやはり、辛抱強く説明を繰り返す。
えらい、と思う。
この先生は「弱者救済型」だ。
前の先生は逆で「先鋭強行型」だった。
ついてこれない人続出。
今の先生は、時間を持て余す人続出。
授業を受けている人の中には、僕のようなパソコンはそれなりに使ってきました、という人はもちろん、元「システムエンジニア」や、「パソコン初心者」が混在している。
スムーズな授業など、どう考えても無理だ。
仕方がない。
それはわかっている。
わかっているのだが、暇すぎる。
僕はたまらずインターネットを開く。
何を検索しようか。
そうだ。「せどり」にしよう。
せどりで稼いでいる人の実践ブログ。
「誰もでできる」「月収100万円も」の文字が目に飛び込んでくる。
指南書的。
大量の文字。
1ページの中に「〇〇な場合はこちら」と、たくさん枝分かれする。
URLをクリックすると、また枝分かれする。
最初のページがどれかわからなくなる。
全部読むだけでも、相当なエネルギーと時間が必要だ。
たくさんのメモを取らなければわけがわからなくなる。
どれが読んだページで、どれが読んでいないページかもわからなくなる。
この量だけで、「せどりは簡単ではない」ということが伝わってくる。
くじけそうになると「慣れれば隙間時間で数万円の利益」という言葉に引き止められる。
とりあえず読んでいく。
読んでいく。
わかりやすい。
行間に熱もこもっている。
入ってくる。
少しずつせどりの世界が見えてくる。
・メルカリやヤフオク、実店舗などで仕入れて、アマゾンで販売すること
・アマゾンには、大口発送で登録すること、FBAというアマゾンに発送を任せること。
・利益が出るものかどうかは、「モノレート」
というサイトでチェックできること。
・せどり初心者は、仕入れ値も実際の物も小さい「CD・DVD」がおすすめ、だということ。
・CDなら、「初回限定版」や「ボーイズラブ」とかいう、美男子同士の恋愛モノが高く売れる傾向にあること。ジャニーズの初回限定版なら〝鉄板〟であること。
・人気歌手より、マイナーで熱烈ファンがいるようなCDの方が高く売れること。
・とりあえず行動に移してみるのが大事なこと。
ここまで調べるのに2〜3時間を要した。
この方の文章には、実経験からしか生まれない説得力が詰まっていたし、「知覚動考」という初めて見る四字熟語に何か掴まれて気がした。
「知覚動考」
「ともかく うごこう」と読むそうだ。
笑えるし納得もできる。
一度信じてみよう、と思った。
Photoshopを使っての色補正も終わった。
学校が配布したやり方に従った色も、黄色が強すぎる気がした。
「ホワイトバランス」は、映像を作る上でとっても大切な要素なのです。
何度、編集機の前で「ホワイトバランス」の調整に格闘しただろうか。
でも、「もっと青を強くしたほうがよくない?」なんてことを話す人は、ここには誰もいなかった。
この学校では、「疑問」は必要とされていない。
「交流」も必要とされていない。
ただただハローワークの指示に従い、平穏に過ごすことが求められている。
とりあえず、学校が終わってから、近所のブックオフに行ってみることにした。
何度も来たことのある店が、ちょっと違った景色に見える。
スマホをポケットから取り出し「セドロイド」アプリを開く。
そして、ひたすらバーコードで読み込んでいく。
37歳のおっさんが、スマホをもって次から次へとバーコードを読み込んでいく。
ひたすら…
ひたすら…
50点ほど、読み込み→検索、を繰り返した。
その結果、アマゾンで店舗価格より1000円ほど高く売れる商品が、2点見つかった。
グラビアアイドルのDVDとボーイズラブのCDだった(ボーイズラブのCDって何が入ってるんだ?)。
1000円×2か。
配送料や手数料など、コストを差し引けば、純利益は200円ほどかな?
200円×2…
「知覚動考」とした結果、わかったこと。
せどりに取り組む人が増えてきた、と言われ、もう何年も経っている。
せどりのやり方情報ももう氾濫状態。
その中に食い込んでいくのはやはり 、容易なことではない。
今まで、考えたこともなかった世界。
自分は素人すぎる。
そこを突き抜けるだけのエネルギーと時間は絶対必要になってくる。
という、とても当たり前のことがわかった。
でも、それでいい。
これまでは忙しすぎて、無駄なことを極力避けてきた。
今はこんな当たり前のことさえも、無駄なことをしないと見えないくらいになっているた、ということだ。
それが現状だ。
それでいい。
さてさて。
国民年金や国民健康保険、テレビ局員時代に買った豪邸ローンが重くのしかかる。
扶養家族あり。ローンあり。
再就職を目指しながらも、副収入の準備は絶対に必要だ。
続く